【映画レビュー】クリーピー 偽りの隣人(ネタバレあり)
こんばんは。うみほたるです。
最近映画をたくさん観ているのですが、違うテーマの記事ばかり書いており、追いつきません。
今回は映画レビューやっていきます。作品はこちら↓↓↓
『クリーピー 偽りの隣人』です。
creepy:身の毛のよだつような・・・たぶんこの英単語からきているタイトルだと思います。まあまあ、わかるかな。
監督は黒沢清さん。ちょっと不安になりますね(笑)。※黒沢清監督が嫌いなわけではありませんよ。
※ちなみに今回のレビューはそこそこのネタバレを含んでおります。嫌な方はあらすじまでは読んで大丈夫ですが、レビューより下は後日にでも読んでください。
【あらすじ】
犯罪心理学を修めた刑事・高倉は、犯罪心理学的見地からの興味・関心ゆえにサイコパスの犯罪者を取り逃がし、自身も負傷したうえに人質の女性を殺されてしまう。
1年後、警察を退職し、大学で犯罪心理学の教鞭をとる傍ら、妻・康子と愛犬・マックスと新生活を始めようとしていた。
新しく引っ越した家の隣人・西野家は父母娘の3人暮らしだが、父の様子がおかしく、母の姿は見えない。不信感を抱く高倉と康子であったが、西野家は取り入るように近づいてくる。
一方、高倉はとあることから6年前に日野市で起きた一家失踪事件に興味を持ち、警察時代の後輩である野上とともに調査を開始する。失踪した一家でただ一人の生き残りである娘に話を聞きながら、徐々に真相に迫っていくが…。
(ここからネタバレあり!!!!)
【レビュー】
まず、他のブログでも言われていることですが、説明不足が過ぎる!!
普通に見ていると、高倉家が実際に体験している不可解な西野家の行動と6年前の事件が次第にリンクしていくというサスペンスに見え、実際にそれはドンピシャで正解なのですが、わからないことが多すぎる。そしてわからないまま終わってしまった。
というわけで説明不足で理解できなかった点を挙げていきたいと思います。
1.謎の注射
最も不可解なのが西野が洗脳に用いていると思われる謎の注射…打たれると全身の力が抜け、西野に逆らえなくなるようです。なのにある程度の正常な判断はできてるよう。う~ん。謎。
2.注射が効かない高倉くん
映画の終盤、西野を追い詰めるも、妻・康子の裏切り(例の注射によるもの)で同じく注射されてしまう高倉。
新たな生活拠点を求め、西野に同行を強制された高倉家だが、愛犬・マックスが邪魔に感じた西野は高倉に射殺するよう命じるも、高倉は西野に向かって発砲し、物語は終わります。
「なぜ高倉は西野が撃てる?」
西野が自分以外の人間に拳銃を渡すシーンは他にもたくさんあります。しかし、その誰もが西野の指示に従うか、西野に拳銃を返すだけ。
また、西野家の母も西野に反抗して殺害されます。西野に対抗できる人間とできない人間の差がわからない…。
3.助けを求めたり、求めなかったりする西野家の娘
2にも関連しますが、西野家の娘は高倉に対し、「あの男はお父さんじゃない。全然知らない人」と耳打ちし、高倉が西野を疑う決定打を与えます。
また、彼女は普通に学校に通っており、助けを求める相手は無限にいます。にも関わらず彼女はなぜか助けを求めません。行動にあまりにも一貫性がなく、その理由も不明瞭なまま終わってしまいました。
※余談ですが、西野家の娘役を演じていたのは以前ブログで言及した藤野涼子さんでした。変な役でしたが、演技力は健在でよかったです。
4.妻の奇怪な行動
高倉の妻・康子は西野家と無関係に奇行が多いです。例えば、引っ越しの挨拶に持っていく手土産がチョコレート(しかも手作り)。不在だった西野家の玄関にぶら下げて帰ろうとしますが、「いやいや、結構陽ざしもあるし溶けちゃうよ」と思ってしまいました。知らない人からの挨拶で手作りのチョコってのもどうなんでしょうか。
また、西野家が父母娘の3人暮らしと知ってなお、「シチューを作りすぎた」と差し入れにいきます。それもかなり強引に。男の一人暮らしとかならまだしも、家族で暮らしている人にそんなことするかな?と疑問に思います。
5.6年前の事件と現在の事件の家の配置
高倉は6年前の事件と今の西野家、高倉家の配置が同じであることに注目しますが、特に何もなく終わってしまいました。一体どういう意図があったのか…。
6.西野家の構造
西野家の中は人も監禁するためにあるような部屋やら住宅とは思えない薄暗く不気味な廊下など、とてもおかしな構造です。もともと住んでいた西野さんは何者なのでしょうか。。。
7.電話の謎
6年前の事件を追う高倉に生き残りの娘からの証言で、「誰かと電話していた」というのが繰り返し強調されるシーンがあります。
そして、洗脳される途上にあったと思われる妻・康子も誰か(恐らく西野で間違いないと思う)と電話しているところを高倉に問い質され、逆ギレするシーンがあります。
「お、これは洗脳の手法に電話が使われているのかな?」と考えたのはきっと僕だけじゃないと信じていますが、結局特にそういった描写はありませんでした。
これも含めて、この映画は余計な描写(いわゆる伏線に相当するもの)が多すぎた感じがします。
というわけで疑問点を挙げられるだけ挙げてみました。たぶんまだまだあると思います。
不満だらけみたいになってしまいましたが、俳優陣の演技はよかったし、前半のサスペンスっぽい展開は面白い映画らしさを感じました。ただ、残念な点も多かった、、、という感じです。
【補足情報①】北九州監禁殺人事件との類似性
本作の紹介でよく取り上げられる実際の事件として、「北九州監禁殺人事件」があります。詳細は下記Wikipedia参照です。ちなみにかなり気持ち悪い事件で、Wikiとは思えない生々しい表現が多いので、閲覧注意!
「北九州監禁殺人事件」から約10年後に発覚した「尼崎事件」はより本作に近く、北九州よりも異常性の高い事件です。僕としてはモデルになったのはこっちでは?と思ってしまいます。同じく閲覧注意!
【補足情報②】関連・類似作品
最後に、恒例の(?)それっぽい作品を僕の独断と偏見で1~2行紹介するコーナーです。ではどうぞ↓↓↓
creepyとは対照的にタイトルと内容が全くリンクしない作品。鬼才・ミヒャエル=ハネケの頭がおかしい作品。胸糞映画なので観る場合は自己責任で。
・ファニーゲーム U.S.A
なんとこの映画、ハネケによりセルフリメイクされています。流石鬼才。ハリウッド版もストーリーは全く同じですが、奥様役がナオミ=ワッツでビジュアル面はグッとレベルアップ。
・隣人は静かに笑う
謎多き隣人つながりです。隣人の正体をあなたは見破れるか。オススメの作品です。
・黒い家
奇怪な行動をする家族が出てくる作品つながり。大竹しのぶの演技が怖いと有名です。
実在の事件をモチーフにしている(と言われている)点や洗脳された人間が事件に巻き込まれるという点で類似性を感じる作品。描写だけなら本作よりはるかに気持ち悪いですが、見ごたえのある作品です。
久しぶりに映画レビューやってみました。サスペンス作品なのでネタバレなしで書きたかったのですが、疑問点が多すぎてネタバレ含みになってしまいましたね。
それでは次の記事で。